どうも形成外科専門医の王子です。
昨日から福岡で行われている日本頭蓋顎顔面外科学会にきています。
「静」と「動」というテーマです。
とても勉強になる学会です。
明日は発表があります。
前回の続きです。
先天性眼瞼下垂症に対する筋膜移植術の経過
実は筋膜移植術の経過の写真はなかなかあてになりません。
というのも、眉のあげ具合によりまぶたのひらきが変わるからです。
眼瞼下垂に対する筋膜移植の症例写真を載せているクリニックは
そこそこの数があると思いますが、
下方視(足元をみたとき)の写真や閉瞼、最大開瞼の写真がない場合は
情報不足といえます。
術後写真だけでの手術検討は慎重にしたほうがよいでしょう。
できれば動画があれば一番よいですね。(いつかアップします。)
さて、術前の写真を並べてみます。
このかたは利き目が左であり、なおかつ左目はしっかりとあいているおかげで
代償運動としての眉毛の挙上が弱いタイプです。
実際一枚目の写真で眉の挙上があまりみられませんね。
最後の写真(最大開瞼)のときは眉毛がしっかりとあがり、
黒目の中心がでています。
術後6日目の写真です。
この時期は腫れの影響で、手術前と同じくらいしかまぶたがあいてません。
兎眼(目がとじきらないこと)も1mm程度みられます。
そして、最後の写真では眼瞼おくれ(下を見たときにまぶたが降りきらないこと)
がみられています。
まぶたがあいていないので患者さんからしたら焦ると思いますが、
腫れがひくのをまちましょう。
術後1か月の写真です。まだ腫れは残っていいますが順調な経過です。
下方視の写真(4枚目)をみると、眼瞼おくれが中程度でているのがわかります。
これは筋膜移植やゴアテックスの移植ではどうしても避けられない問題です。
このままスマホや本を読むと、周りの人がびっくりしてしまうので、
顔をしたに向けるように癖をつけてもらうようにしています。
最大開瞼(5枚目)ではかなり大きく開いていることがわかります。
とても順調な経過です。
ご参考になるかと思います。
また長期経過もアップさせていただきます。
写真の使用のご快諾ありがとうございます。
眼瞼下垂症に対する筋膜移植術は単純な術式ですが、
とても奥が深い術式です。
特にまぶたのアーチを安定してつくるのは技術と経験が必要です。
専門施設(形成外科)で手術を検討することをおすすめします。