王子です。
すごく久しぶりにアクセス数をみたところ、
霰粒腫の手術体験記事のアクセス数が一番多いようです。
術後1年たちましたが、手術をうけたことを完全に忘れていました。
それくらい全くわからないきずになっています。
また次回アップしますね。
さて前回のつづきです。
50代女性の中等症の眼瞼下垂症に対して
保険診療で眼瞼下垂症手術(挙筋前転術)を行いました。
術前の写真です。
手術のデザインです。
希望する二重幅、皮膚の状態、まぶたのしわ、くぼみ目の程度などを
すべて考慮してデザインを決定します。
「何も考えずに○ミリで切開して、皮膚切除を○ミリする」
という具合では形成外科の手術ではありません。
そしてこのタイプで皮膚をある程度切除すると、自然な二重になりにくく、
要注意です。
手術開始です。メスで線の真ん中を正確に切りこみます。
皮膚を切開すると、眼輪筋というまぶたを閉じる筋肉がみえてきます。
その眼輪筋を切開します。
つづいて眼窩隔膜という膜を切開して、今回の標的である挙筋腱膜をみつけます。
きれいな腱膜です。
眼窩脂肪を上によけると挙筋腱膜につながる眼瞼挙筋の筋体がみえます。
きれいな筋体です。
続いて挙筋腱膜の裏面をはがしてみます。そのしたにはミュラー筋があります。
これで準備完了です。
挙筋腱膜を前転します。腱膜を正常な位置に糸で固定します。
この固定する上下左右の位置がこの手術のキモどころです。
やりすぎは禁物です。
片方の固定がすんだら仮止めして開き具合をみてみましょう。
向かって右の腱膜固定した方はよく開いています。
この後、もう一方の腱膜も固定し、座位で開き具合を確認します。
可能な限り左右差がなくなるように、
まぶたが綺麗なアーチを描くように、丁寧に調整します。
仮止めによる調整が終わったら腱膜の固定糸をしっかりと結びます。
1-3点の固定を要します。今回は1点で十分と判断しました。
あとは二重を綺麗につくりましょう。
この症例では、吸収される糸を使って二重をつくりました。
中縫いしたら、目をあけて二重の引き込み具合を確認しましょう。
よーく見て、左右差やまつげの上がり具合を調整します。
あとは皮膚を縫合するのみです。
細い糸で丁寧に皮膚をあわせます。
手術直後の写真です。三重まぶた予防のために、ふくろとじ縫いを追加してます。
あとはダウンタイムを耐えるのみです。
ご参考になりましたでしょうか。
保険治療であろうと、自費治療であろうと、
挙筋腱膜操作の基本は同じです。
丁寧かつ慎重な操作が必要になります。
匿名での眼瞼写真の使用をご快諾していただいた患者さんに感謝申し上げます。
長くなりましたので、ダウンタイムと術後経過の画像は次回に。