形成外科の王子です。
夏も終わりですね。
私は秋が好きなのでわくわくしてます。
今回は修正手術についてです。
幅広な眠そうな二重を治したい。
以前に他院で眼瞼下垂手術を受けたかたがご相談にいらっしゃいました。
眠たそうな目を治したいとのこと。
術前の写真です。
眼瞼下垂の状態です。
果たして前医の手術があまかったのか、あまくなかったけど再発したのか。
間違った手術がされているのか。
筋肉自体が弱っているのか。神経の病気があるのか。
いろんな可能性がありますね。
皮膚を切って中身をのぞいてみないとわからないことだらけです。
しかし、診察で間違いなくわかることもあります。
それは皮膚の長さです。
どこで切られているか、どれだけ皮膚が余っているかを正確に測定します。
これにより手術計画が決まってきます。
デザインです。
デザインで半分以上決まるので、デザインには時間がかかります。
局所麻酔してからデザイン通りに切開し、
皮膚の下を探ります。
挙筋腱膜をみつけられれば、いつも通りの眼瞼下垂の操作となるのですが、
症例によっては挙筋腱膜をみつけたり剥離するのが大変です。
腱膜を固定したところです。
この写真はとっても重要です。その理由はあとでふれます。
手術直後です。
そんなに腫れてないですね。
一般的に修正手術のほうが腫れやすいです。
抜糸時の写真です。
この時点で左右ほぼ対称なので一安心です。
抜糸時に大きな左右差があれば、まずは腱膜を固定した部位の写真を確認します。
腱膜固定位置に明らかな左右差があれば、
抜糸時にもういちど傷をひらいて腱膜を調整します。
だから腱膜の固定位置の写真は大切なんですね。
術後1か月です。
あれれれ?
まだまだきずも赤くてむくんでいる時期ですが、
なにかがおかしいです。
向かって左のまぶたが下がってます。
目尻の二股も強めですし、なんだか皮膚の赤みも強いです。
患者さんも向かって左のまぶたが開きにくいとおっしゃいます。
こんなときも手術中の写真をもう一度見返します。
挙筋の固定位置の左右差もなく、抜糸時まで左右差がなければ、
時間とともに左右差はなくなる可能性が高いです。
まぶたの腫れをひかせるお薬を飲んでもらって経過をみます。
不安ですが、ひたすら耐えましょう。
術後3か月です。
心配していた左右差もなくなり、二重の幅もいい感じです。
1か月目と比べて開けやすくなったとのこと。
1か月の時点で左右差がある場合でも、
こんな具合で揃ってくることもよくあります。
まだむくみはありますし、傷もこれからもっと馴染んできます。
組織をとりすぎず、二重の固定が強すぎなければ
傷はきれいになることがほとんどです。
写真使用のご快諾ありがとうございました。
最後に術前術後の写真をならべてみます。
だれがどうみてもよくなりましたね。
機能面も整容面も治す。
そんな治療をこれからも目標にしていきます。
眼瞼下垂手術後は時間とともに変化していく。
今回は、手術直後には左右差はなく、術後1か月目で左右差がでて、
3か月目には回復したケースでした。
他にも手術直後に左右差があっても、術後3か月で左右差がなくなるケースもありますし、
手術直後に左右差がなくても、術後3-6か月で左右差がでるケースもあります。
かなり悩ましいのは、
手術直後に左右差がなく、術後6か月でも左右差がないけれど、
術後1か月くらいから目の開きが後戻りして、
術後6か月で両側とも低矯正(目の開きが足りないこと)になるケース。
いろんなことがあります。
だから難しいんですね。この手術は。
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手術内容:挙筋前転術
早期のリスク:腫れ、痛み、内出血、感染、稀に結膜浮腫
見た目のリスク:まぶたの開きの左右差、二重の左右差、まぶたのアーチの不整、
予定外重瞼(三重)、二重のくいこみ、キズアト(場合により2本)、
二重の消失、二重が浅くなる、眉毛がさがる、うわまぶたが厚ぼったく見える、など
機能面でのリスク:兎眼、ツッパリ感、視力の変化、眼瞼痙攣、ドライアイ、角膜炎、霰粒腫など
料金:保険適応で約45000円(3割負担)
自費治療で60万円(税別)