形成外科医の王子です。
先週は台風に備えて自宅警備をしていたので
ブログ更新をさぼってしまいました。
こういうときに心の弱さがでるのです。
手術中には心の弱さがでないようにしなければなりません。
手術中の心の弱さは
「まいっか。」
という言葉(ひとりごと)に集約されます。
この言葉が脳をよぎるようではいけません。
私は「まいっか。」と思ったことはありません。
妥協のない手術を心がけています。
(私生活では心の弱さだらけですが。)
一般のかたにはかなり意味不明かつ不謹慎な話ですね、
でも手術をする医師はよくわかるかと。
修正手術ではなくタッチアップ手術です!
今回は
皮膚切除で二重幅を広く、かつ目頭切開も。
という症例です。
正直にいいますと自分がした手術の追加手術なので、
修正手術といわれてもおかしくはありませんが、
ここはかっこよくタッチアップ手術といわせてください。
初回の手術もうまくいったのですが、
自然な仕上がりからもっと幅を広くしたいというご要望がでてきたパターンです。
経過を一緒に見ていきましょう。
30代女性です。
まぶたの重たさを改善したいとのことで、初回の眼瞼下垂手術を受けていただきました。
術前の写真です。
こんな感じでデザイン。皮膚切除は3ミリ。
挙筋腱膜を固定しました。(これ、とても重要な写真です。)
今回は写真が多いので、術後6か月へワープ。
まゆの位置もさがり、自然なかわいらしさがでたと思います。
まぶたの重たさなどの症状も軽くなりました。
でも、
「幅を広げたい。」
というご要望がありましたので、
「はい よろこんで」
とお引き受けしました。
そしてついでに目頭切開もやることに。
ここでひとつ注意。
幅を広げるときに皮膚切除をしすぎると、
眉毛に近い部分の分厚い皮膚が二重の線の上にくることで、
とてもモッタリすることがあるのです。
モッタリというか、重たい感じ。
このモッタリをすこしでも減らすために、
ROOF切除(ルーフ切除)
が有効です。
ROOF(ルーフ)は皮下脂肪でもなく、眼窩脂肪でもない、
眼輪筋の下にある、かための脂肪組織です。
これを除去することで、二重の上のモッタリ感が軽減するんです。
実際には皮膚や眼輪筋の厚みもあるので、
ROOF(ルーフ)を切除してもとてもスッキリするような感じではないですが、
違いは確実にあります。
ROOF(ルーフ)を切除する際は、広範囲に切除する場合と小範囲に切除する場合があるんですが、今回は二重のモッタリ予防に小範囲のROOF切除を予定しました。
2回目手術のデザインです。
目頭については、
ひだが斜め下まで伸びているタイプでしたので迷わずZ法を選択。
目頭を露出しすぎない控えめのデザインとしています。
今回の皮膚切除は4.5mm。
前回とあわせれば合計7.5mm切除したことになりますね。
術後6か月の写真です。
二重幅が2-2.5mmくらい広がり、
ROOF(ルーフ)を切除した効果で、二重の上のモッタリはそこまで目立たないですよね。
目頭のひだ(もうこひだ)もいい具合に弱くなったと思います。
なによりも、
二重のキズと目頭のキズがとても綺麗ですね。
それにつきます。
丁寧に、組織をとりすぎず、気持ちをこめて手術すれば、キズは綺麗になるのです。
私はスピリチュアル野郎ではありませんが、それにつきます。
術前術後の写真を並べます。
いい感じですね。
写真使用のご快諾ありがとうございました。
ROOF(ルーフ)切除についてはよく質問されることが多いので、
近いうちに記事にしますが、
注意しなければならないことだけ先に述べておきましょう。
ルーフ切除といって別料金をとるのに、
ちょびっとだけしか切り取らないという
嘘ルーフ切除だけには気をつけてください。
どの程度切り取るのか。どの程度効果がでるのか。リスクはどのようなものがあるのか。
などしっかり質問したほうがいいですよ。
今回は患者さんからの追加手術のご要望にお応えしたケースでした。
みなさん経過チェックの際に不満やご要望をちゃんと医師に伝えられていますか?
私の外来では術後の仕上がりに関して思うことがあればなんでも言ってもらっています。
その際、信頼関係がないとすべて聞き出せないので、
信頼関係は非常に重要です。
気になること、なんでも言ってくださいね。
治せることがあれば細かいことでもできるだけ対応します。