こんにちは、形成外科専門医の王子富登です。
前回の続きです。
前頭筋つりあげ術(筋膜移植)ってどんなことをやるの?
まず麻酔について。
成人であれば局所麻酔で可能ですが、
未成年の場合は全身麻酔で行うことがほとんどです。
今回は全身麻酔で手術を行いました。
デザインの写真です。
下垂のない左まぶたの二重にあわせてデザインしました。
眉毛の上にも線があるのがわかりますか?
こことまぶたの間に筋膜を通します。
続いて採取した筋膜です。ふとももから採取しました。
もちろんこの形で存在するわけではなく、
2cm未満の傷から採取した筋膜を、
Y字型に加工しています。
筋膜の加工法には色々なバリエーションがありますが、
これが一番シンプルでコントロールしやすいです。
まぶたの切開と眉毛の上の切開の間にトンネルをつくって、
そこに筋膜を通したところです。
筋膜のY字の部分はまぶたの縁にすでに縫い付けてあります。
(きれいなまぶたのカーブをだすために、この縫い付けがとても重要です。)
眉毛の上にも筋膜がでていますね。
Y字の部分と眉毛の上の筋膜が皮膚の下でつながっているということです。
続いて、筋膜を上にひっぱったところです。
目指すべき開き具合を調整します。
実際には眉毛をあげる筋肉(前頭筋)が縮むことで筋膜がひっぱられます。
そしてきれいなアーチがでていることを確認します。
このときにまぶたのきれいなアーチがでていなければ、
縫い付けからやり直しです。
手術直後です。まぶたがひらいています。
医師ごとに考え方は異なりますが、私はこのくらいの開きが適切と考えています。
この調整も重要なポイントです。
ちなみに、眉毛側のきずが凹まないように工夫しています。
できるだけきれいにするための努力は欠かしません。
写真使用のご快諾ありがとうございます。
腫れや目の開きは時間とともに変化していきます。
(移植した筋膜は若干収縮するのです。)
次回は経過(術後2日、抜糸時、2週間、1か月)をお伝えします。