こんばんは。形成外科専門医の王子富登です。
本日は皮膚がんの手術でした。
拡大切除といって、
皮膚がんを大きく切除し、転移の可能性のあるリンパ節を根こそぎとる手術です。
当院形成外科ではこのような皮膚がんの手術も得意としています。
前回の続きです。
手術を考える方々からすると、経過って気になりますよね。
その中でももっとも気になるのは
腫れとまぶたのひらきでしょうか。
前頭筋つりあげ術の経過や症例を載せているブログやサイトは少ないです。
なぜか?
それは単純で、
良い結果をだすのが難しいからです。
前置きはこれくらいにして、
経過を見ていきましょう。
術前から術後6か月の経過を並べます。
このように、
腫れの影響で、術後6日目はまぶたの開きが術直後よりわるいです。
その後、腫れがひくにしたがって、徐々にまぶたが開いてきます。
術後1か月の時点でも、まだ術直後よりも開きが足りない印象です。
術後3か月以降のまぶたの開きは術直後と類似していることにも注目です。
大腿筋膜の縮みもありますので、まだ経過観察が必要ですが、
この時点で非常によい経過でしょう。
あとは、この手術の問題点のひとつである、
眼瞼おくれについて。
眼瞼おくれとは
顔を動かさないで目だけで下をみたときに
まぶたが目についてくることができず
上三白眼のようになってしまうことです。
写真を並べます。
はじめて見た方はびっくりすることでしょう。
しかしこれは失敗ではなく、
この術式に必発の症状なのです。
ここで注目してほしいのが、
術後6か月のほうが術後1か月より眼瞼おくれの度合いが大きいということです。
これはまぶたを開く時と違って、腫れの影響は少ないですから、
筋膜のちぢみが一番の原因でしょう。
あまりにもちぢみすぎると目がとじなくなる(兎眼)となるので
手術中の調整には経験が必要です。
術後は、まわりのひとをびっくりさせてしまうのはよくないので、
- スマートフォンをいじるとき
- 読書するとき
- 足元をみるとき
こういった時は必ず顔をしたにむけるように練習してもらいます。
写真使用のご快諾ありがとうございます。
眼瞼おくれや一時的にまぶたが閉じにくいという症状があっても、
それ以上のメリットがあるのがこの手術です。
まぶたがあがらないことに困っている方、
大腿筋膜移植を考えている方、
是非一度当院にご相談にいらしてください。