こんばんは。
形成外科専門医の王子です。
本日は城本クリニック立川院で勤務でした。
二重埋没法や二重切開のカウンセリングなどがありました。
丁寧なカウンセリングをこころがけています。
本日はへリングの法則について。
片側だけの治療でいいのか。片側の眼瞼下垂症。
「へリングの法則」とググってください。
というのは冗談ですが、ググれば大抵の情報は得られますよね。
実際検索してみれば、私も尊敬しているドクターのブログ解説がありますので、
ぜひごらんになってみてください。
へリングの法則を簡単にいえば、
「弱っていた片方のまぶたが回復すると、もう片方のまぶたがサボる。」
ということです。
背景としては、
「片側のまぶたの開きが悪い時に、
そのまぶたを一生懸命開けようとする指令が脳からでるが、
その指令がもう片側のまぶた(開きが悪くない方)にも伝わってしまい、
まぶたの開きがもともとの開きよりも大きくなっている状態」
があります。
この状態で、まぶたの開きが悪い片方だけの手術をして、
そのまぶたの開きが回復すると、
一生懸命開けようとする指令がでなくなり、
もう片方のまぶたがサボってしまい、手術の前よりまぶたの開きが小さくなること
をへリングの法則というのです。
なぜこれが重要かというと、
片方の眼瞼下垂でいらした患者さんに、
片方だけの治療を行うと、
反対側の眼瞼下垂がでてしまい、
辛い思いをさせてしまうからなのです。
二回手術を受けるのも辛いですよね。
前回の症例をみてみましょう。
手術したのは向かって左側のまぶたです。
むかって右側のまぶたに注目してください。
術前より術後のほうがまぶたの開きが小さくなっていることがわかります。
これは眉毛がさがったことも影響していますが、
まとめればヘリングの法則により、
手術していない方のまぶたがさがったと
とらえることができます。
このかたに両側手術を行うことは大きな間違いではないと思いますが、
体へのダメージを最低限にするのが重要なので、
不要な手術は避けるのが望ましいです。
なので今回は片側だけの手術としました。
片側のみの手術?それとも両側の手術?
片側の眼瞼下垂症の場合、
へリングの法則により、
反対側も下垂が起きると予測される症例は、
両側の同時手術を行います。(当施設では)
一方、今回の症例のように、へリングの法則がおきても、
反対側がさがりすぎないと予測される症例では片側のみの手術を行います。
ではそれをどのように見極めるか。
- 視診(患者さんのまぶたをよくみる)
- 利き目(カメラをのぞく方のまぶた)
- 眼科での手術歴やコンタクトレンズ着用歴
- まぶたをあげるシミュレーション
などで総合的に判断します。
「片側だけの手術でもよくなる患者さんに両側の手術をする。」
→患者さんからすると、不要な手術は受けたくないものです。
手術は痛いですから。
「片側だけ手術したら、へリングの法則で反対側が眼瞼下垂になってしまい、反対側をまた手術することになった。」
→患者さんからすると、二回も痛い思いをしたり、二回も通院したり入院したりするのはいやなものです。大変ですから。
不要な手術を避けつつ、必要十分な手術を提案する。
これは難しいですが、とても重要なことです。
こういったことを判断できる施設で
眼瞼下垂治療を受けるのがよいでしょう。
千葉県での眼瞼下垂治療は、ぜひ症例数の多い当院で。