どうも形成外科専門医の王子富登です。
あけましておめでとうございます。
2017年もたくさんの患者さんの治療を担当させていただき、感謝です。
2018年も宜しくお願いします。
前回の続きです。
下まぶたのしわ取り術後の他院修正をどうやって治すか。
まずは術前の写真のおさらいです。
前のクリニックで皮膚をとられすぎていることは明らかです。
「植皮(皮膚の移植)すればいいんじゃないですか?」
と言われてしまいそうですが、
そんなに単純なものではありません。
まぶた治療は水平方向、垂直方向、前後方向の要素を三次元で考える必要があります。
診察をしてみると、このかたのまぶたは、
- 前葉(皮膚)の垂直方向の不足
- 後葉(結膜など)の垂直方向のゆるみ
- 水平方向のゆるみ(特に外側)
の要素がありました。
このうち、
3. 水平方向のゆるみ(特に外側)
が今回の症状の一番の原因と考えました。
1の要素は比較的少なく、2,3をうまく組み合わせれば良い結果が得られると判断しました。
逆にいえば、植皮だけではよい結果が得られない症例です。
2,3を同時に手術するかに関しては、
組織の血流や腫れのことをふまえると、
二回にわけて手術をしたほうがよいと判断し、
まずは外側をつりあげて水平方向のゆるみをなおす方針としました。
シミュレーションではこれだけでかなりの結果が得られると予想しました。
デザインです。
仰臥位での撮影なので、下まぶたの垂れ下がりはないようにみえます。
術中です。
まぶたを切り離して、少し外側にひっぱってゆるみを解消したうえで、
再固定します。
このときの固定位置が非常に重要です。
固定したら座った状態で確認します。
術直後です。
腫れも少なく、40分程度で終わります。
術後7日目(抜糸時)の写真です。
もちろん座った状態で撮影しています。
腫れの少ない手術ですね。
最後に術前と術後1か月です。
写真使用のご快諾ありがとうございます。
今後の経過で、内側のゆるみが出てくる場合があります。
その場合は局所麻酔で内側のゆるみを治す手術を追加する予定です。
(同時に後葉のゆるみも治します。)
ちなみにこの手術は顔面神経麻痺の手術のひとつです。
私たちの施設では、顔面神経麻痺の治療件数が千葉県トップですので、
顔面神経麻痺のこういった手術も問題なく他の治療に応用できます。
美容医療の合併症で悲しむかたが少なくなるような活動も重要ですが、
そういった合併症を治せる外科医が増えることも重要ですね。
顔面神経麻痺、まぶたの治療はぜひ当院で。