王子のまぶたブログ 眼瞼下垂と二重

形成外科専門医の王子富登のブログです。二重まぶたと眼瞼下垂の治療について紹介していきます。

健康寿命を延ばしましょう。80代後半のかたの眼瞼下垂 挙筋前転術 の経過

どうも形成外科専門医の王子富登です。

 

前回の続きです。

 

 

高齢のかたの挙筋前転術

 

術前の写真を再掲します。

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これでは生活するにもなかなかしんどそうです。

挙筋能力(上眼瞼挙筋のちから)は低めですが、

適切な挙筋前転術で改善を見込めたので、

局所麻酔で手術を行いました。

 

手術デザインです。

デザインがすべてを決めるといっても過言ではないくらい、重要なところです。

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上眼瞼挙筋腱膜を前転固定したところです。

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外角と呼ばれる外側の部分を切開して、

まぶたを開ける抵抗(開瞼抵抗)をさげ、

上眼瞼挙筋のちからを最大限にひきだします。

高齢のかたなので、まぶたのアーチが角ばりやすく、注意が必要です。

手術中に座った状態にしてもらい、開き具合や左右の差をそろえていきます。

 

手術直後の写真です。(あおむけでの写真です。2枚目は上方視です)

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直後ということもあってまぶたの開きは悪いですが、

まぶたのアーチの角張りはありません。

腫れはこの程度が通常です。

血液サラサラの薬を飲んでいますが、丁寧に手術を行えばこのように問題ありません。

 

術後1か月の写真です。

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腫れが長引くこともなく、兎眼(目を閉じた時の白目)もありません。

順調な経過です。

この時点ですでに喜んでいただけました。

 

術後3か月の写真です。

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眉毛の位置やくぼみ目の程度により、

二重のみえかたの左右差はありますが、

まぶたの開き具合は良好です。

きずもきれいです。

 

 

術後一年の写真です。(再掲)

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よい結果です。

まぶたの開きはこの程度あれば十分に生活できると思います。

写真使用のご快諾ありがとうございます。

 

 

一点補足するとすれば、

まぶたの開きに関して、手術前に明らかな左右差がある場合は、

手術後の安静時で左右差が残ることがしばしばあります。

今回のかたも手術前の傾向(向かって右まぶたのひらきが左よりも良い)

が術後も残っています。

左右の開きが等しくなるように手術中に調整しても

左右差が残ることがあるのです。

これは利き目の側を大きく開ける傾向があることが原因と考えています。

 

 

右ききのかたは、右腕の筋力のほうが左腕よりも強いですよね?

 

そんな風にとらえていただければわかりやすいかと思います。

 

 

挙筋機能(まぶたをあける力)の低いかたの手術の難しさ

 

まぶたの手術の前に挙筋能力を診察しますが、

挙筋機能が低いお年寄りのかたの治療はやや難しいです。

 

いい加減な挙筋操作を行うと、まぶたが閉じなくなったり、三角目になったりします。

正しい挙筋前転術ができず、挙筋の力を最大限に引き出せない場合、

まぶたの開きが足りなかったりします。

下手すれば、まぶたの開きが足りずに、

ゴアテックスや筋膜の移植(こちらの記事を参照してください)

が必要といわれる場合もあると思います。

 

加えて、お年寄りのかたのまぶたの支持性は弱いので、

綺麗なまぶたのアーチ(カーブ)をだすのが難しいのです。

挙筋を固定する位置を1mmずらしただけで、

まぶたが角張ったり、台形になったりします。

 

これらを避けて良い結果をだすには経験とセンスしかないと思っています。

(そもそもこれがないと、

目の前にあるまぶたのカーブがきれいなカーブなのかどうか

さえ判定できないものです。)