形成外科の王子です。
眼瞼下垂手術で左右差がでる確率は5-10%。
下垂修正手術だともう少し確率があがります。
まぶたの形、二重の乱れやゆるみも含めれば、
なんらかの手直しの手術が必要になる可能性がけっこう高いです。
こんなリスクの高い手術、なかなかないですよね。
どんなに症例をこなしている医師だとしても副作用がでることがあります。
その確率をゼロにすることもできませんし、低くすることもできません。
大事なのは、そういった副作用や合併症がでる可能性を理解することと、
手直しの手術も含めてしっかりしたフォローをしてくれる病院で
手術をうけることでしょう。
もちろん医師側は毎回、一発でバシッと決める気持ちで手術に望んでいます。
さて本日は若い女性の症例です。
平行二重で、できるだけ目頭もだしたい。
私はナチュラル志向寄りですが、こんなオーダーもまだまだあります。
初診時の写真です。
ひだが強く、眼瞼下垂の状態のまぶたですね。
眉毛が低いのも特徴です。
このまぶたもアジア人らしくて綺麗なのですが、
二重になりたいのは若い女性の望みです。
なにはともあれ、まずは埋没。
ゆるみやすそうですし、とれやすそうですが、まずは埋没なのです。
狭めの幅で埋没2点して、3か月後と1年後です。
埋没が少しゆるんでいますが、術前よりは皮膚のかぶりが少なく、
目尻側の二重も見えています。
二重がとれるのがいや
もっと派手に、平行二重にしてほしい
とのことで、
切開眼瞼下垂手術と目頭切開を計画しました。
デザインです。二重の線(した側の線)は伸ばして9.5mm、皮膚切除は2.5mmです。
目頭は赤みのでにくいZ法です。
このまぶたのタイプでは10mm以上のデザインは避けたほうがよいでしょう。
ぷっくりハム必発です。
目頭切開ののちに眼瞼下垂手術です。
腱膜固定をします。
無理のない、自然な位置で固定したところです。
やや専門的になりますが、まぶたの内側から外側まできれいにあげるためには、
タッキングなどでは難しいケースだと思います。
術直後です。
腫れてます。
特に目頭切開と同時にやると、手術時間やダメージが増えるので、
腫れが強い印象です。
こんなときは秘密の腫れどめの薬を飲んでもらって腫れが引くのを早めます。
術後7日目、抜糸時です。
ぼちぼち開いてきました。三重もなく、左右の開きの差もないので
このまま経過をみていきます。
(逆にいうと、この時点で三重があったり、左右の開きの差が大きい場合は
抜糸の日に再調整させていただくことがあります。)
術後1か月です。赤みが一番強い時期です。
ちなみに3枚目は思いっきり目を開けた写真です。
まだまだむくんでますね。
きずが気になってもグッとこらえましょう。
きずをなるべく綺麗に治すための方法を伝授しますので。
術後3か月です。
きずも目立たなくなってきました。
凹みも見当たりません。
多くのかたが気にする伏し目はこんな感じ。
赤みはまだありますが、凹みなしですね。
赤みは今後ひいていきます。
術前術後の写真を並べます。
かなり変化しましたね。
眉毛が低いタイプですし、術後に眉がすこし下がっています。
どうしても二重幅をだしにくいタイプです。
これ以上皮膚切除すると、二重の線のうえのもっこり感がかなり強くなり、
二重のかぶさりも浅くなるのでややおかしくなると予想されます。
この方の場合は、二重切開からの治療ではこのくらいの幅が妥当かと思います。
そして大切なことをひとつ。
手術の前と比べて、二重の線が高くなりますから、
分厚い皮膚の部分で折れるようになりますね。
そうすると、皮膚が薄い部分で奥二重のように折れてた術前よりも、
まぶたにかかる抵抗が増える(薄い皮膚で折れる→分厚い皮膚で折れる)ので、
ただの切開二重下垂だと、
術前よりも開きが悪くなることがあります。
なのでこういったまぶたには下垂操作が必要になるのです。
でも下垂操作すると目の開きを保てる一方で、少し眉毛がさがるので、
二重幅は狭くなりがちなので、そこも悩ましいところです。
眠たそうな目でとても広い二重か、
ちゃんと開いた目でほどほど広めの二重か、
私は後者が好きです。
もちろん前者が好きな場合は下垂操作はなしのほうがよいですね。
両目のバランスもすこぶる良好ですが、
今回は患者さんのご厚意での掲載許可なので片目のみとしました。
写真使用のご快諾ありがとうございました。
幅広二重について
「できるだけ二重を広くしてください。」
と言われた際は、
本人が受け入れられる範囲、なにかあっても修正可能なギリギリの範囲での手術を
計画します。このギリギリのところを見極めるのがけっこう難しいです。
ボンレスハム状態を受け入れられるのであれば、ハムのうえに二重が乗ることで
とっても幅広にはなりますが、あとで後悔する人も多いですよね。
ハムにならないように、睫毛の根元が完全には隠れないように、
でもなるべく二重が広くなるように、いろいろと考えながらデザインしていきます。
無茶は大手の美容外科にまかせます。
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手術内容:眼瞼下垂手術(挙筋前転術)、目頭切開
早期のリスク:腫れ、痛み、内出血、感染、稀に結膜浮腫
見た目のリスク:まぶたの開きの左右差、二重の左右差、まぶたのアーチの不整、
予定外重瞼(三重)、二重のくいこみ、キズアト(場合により2本)、
二重の消失、二重が浅くなる、眉毛がさがる、うわまぶたが厚ぼったく見える、
肥厚性瘢痕、ケロイド、目頭が開きすぎ、もうこひだが残りすぎ、
目頭切開したのに平行にならない、など
機能面でのリスク:兎眼、ツッパリ感、視力の変化、眼瞼痙攣、ドライアイ、角膜炎、霰粒腫など
料金:自費治療で眼瞼下垂手術55万円(税別)、目頭切開30万(税別)