形成外科専門医の王子です。
忘年会シーズンですね。
30歳を超えるとお酒は確実に残る気がするので、
手術を受ける人も手術をする人も飲みすぎに気をつけましょう。
特に外科系の先生方は手術日前の深酒はNGですね。
さて本日は10代の女性の全切開二重+眼瞼下垂症手術です。
術前の写真です。
典型的な一重です。
皮膚のかぶりがメインですが、
開瞼も少し弱い印象です。
特に埋没などはしていません。
つまりいきなり切開パターンです。
私はいきなり切開パターンをすすめることはあまりありません。
(全切開の不確実性が最大の理由です。)
しかし、ブジーをあてて二重にするシミュレーションをした際に、
まばたきなしでも二重が一重に戻ってしまうかたは
いきなり切開パターンをすすめます。
今回のかたもそのようなまぶたでしたので、
埋没なしで切開にふみきりました。
行った手術は、
皮膚切除なしの二重全切開及び挙筋腱膜前転術です。
デザインはこちら。
末広型になるように、かつ目尻側は幅が少しみえるようなデザインです。
二重幅は最大で7mm。
このまぶたはたるみが少ないタイプ、むしろまぶた自体が短めのタイプですので、
たるみ取りはなしとしました。
局所麻酔で60分−70分。
無駄なく丁寧に。
そして目の開きを調整する際、目の形を確認する際、二重の引き込みを確認する際に
目を開いてもらってよく観察します。
その回数は平均で10-15回くらいでしょうか。
とても大切な作業ですので省略はできません。
手術直後です。
もともとがっちり一重なので、二重のひきこみは少し強めに調整しました。
術後1か月です。
1か月はこのくらいむくんでいることが多いです。
特に眼瞼下垂手術では、挙筋腱膜を固定するために瞼板をしっかりと露出させる工程が必要です。
その影響で、まつげ側のむくみが二重全切開の時よりも長引く傾向があります。
術後5か月。
最後の写真は目力をいれたときです。
きずのへこみの有無はふしめが一番わかりやすいですね。
上を見た時と、一生懸命目を開けた時に注目すると、確実に目が大きくなっています。
ちなみに一年後のきずはこんな感じ。
とってもきれいな傷になります。
写真を並べて見ます。
ズルしないように、わかりやすいように補助線つきです。
黒目の大きさの下半分がそろうように画像の大きさを揃えています。
変化は次の通り。
- 眉毛がしっかりさがった。
- 黒目のみえる面積が増えた。
- 下三白眼がすこし改善した。
嬉しい変化です。いいですね。
写真使用のご快諾ありがとうございました。
しかし、ここで疑問に感じるかたがいるかと。
眼瞼下垂手術をしたのに、
ぼーっとしている時の目の大きさがあまり変わっていないのでは?
その通りです。
上の比較写真をみると、二重になることにより、すこし大きく見えますが、
デカ目整形!!!
ってほどには大きくなってません。
これには理由があります。
私がやっている手術が腱膜固定という手技だからです。
この手技を車にたとえてみます。エンジンとアクセルの関係です。
エンジンの強さが上眼瞼挙筋の強さに相当します。
アクセルのふみかたの癖は、まぶたの開きクセに相当します。
車のスピードが実際の目の開きに相当します。
腱膜固定はエンジンとアクセルを適切な位置で連結を強くする手技です。
つまりは、エンジンの強さ、アクセルのふみかたの癖は変えない、変わらないのです。
もしも患者さんが、通常運転の場合に必要最低限にそーっと踏んで
安全運転するタイプのアクセルの踏み方であれば、
腱膜固定の手術を受けた後でも、通常運転の際のスピードは変わりません。
つまり、ぼーっとした時の目の開きはあまり変わらないのです。
一方、アクセルをぐっと踏み込んだ時のスピードは、
エンジンとアクセルの連結を強くした影響(腱膜固定の影響)で上がります。
つまり、目を思いっきりひらいたとき、上の方を見た時には目の開きが大きくなるのです。
今回のかたの上方視の変化はこちら。
安心してください。大きくなってます。
なお、挙筋短縮術であればエンジンの強さをわずかに強くすることができますが、
これは生理的な手術ではないので、
カラコンを全部だしたい場合や先天性眼瞼下垂などの場合でないと行いません。
目の乾きや兎眼、目の引っ張られ感などよくないことも起こり得ます。
今回のまとめ
目をぼーっと開く癖が強い人は、
眼瞼下垂手術をしても広瀬すずさんのようなパッチリ目にならないこともあるってこと。
これを手術前に知っているか知らないかで大違いです。
でもトレーニング次第で、目の開きグセが改善する人もいますから、
担当医の話をよく聞いてくださいね。
ちなみにプチ情報として、
この手術の3か月前に下まぶたの逆さまつげの手術もしています。
下まぶたをよくみると傷の線があって、
時とともにうすれていくのがわかると思います。
写真を見返して見てくださいね〜
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手術内容:眼瞼下垂症手術(挙筋前転術)
早期のリスク:腫れ、痛み、内出血、感染、稀に結膜浮腫
見た目のリスク:まぶたの開きの左右差、二重の左右差、まぶたのアーチの不整、
予定外重瞼(三重)、二重のくいこみ、キズアト(場合により2本)、
二重の消失、二重が浅くなる、眉毛がさがる、うわまぶたが厚ぼったく見える、など
機能面でのリスク:兎眼、ツッパリ感、視力の変化、眼瞼痙攣、ドライアイ、角膜炎、霰粒腫など
料金:保険適応で約45000円(3割負担)
自費治療で約60万円(税別)