形成外科専門医の王子です。
本日は逆さまつげの治療です。
大切なことを最初にいいます。
逆さまつげ手術は手術操作が甘いとすぐ再発します。
形成外科でも眼科でも再発しまくりです。
後戻りなんてしたことないと言っている医師は、
自分が執刀した症例の再発にすら気がついていません。
そして2回目以降の修正手術はデザインや操作に制限がでるので、
キズが目立ちやすくなります。
初回の手術が大切です。
ある日、逆さまつげでグーグル検索してでてくる画像をひと通りチェックしたことがあります。
「下逆さまつげの切開法の術後2週間です。逆さまつげが再発なく治りました。」
「局所麻酔の日帰り手術でこんな簡単に治ります。」
といった説明とともに不鮮明な写真を掲載しているクリニックが多いこと。
写真載せてるだけマシですが、、、
2週間で再発するわけありません。
そしてなにより、
その写真自体、逆さまつげがたいして治っていないのです。
矯正が甘すぎる。
そんな写真をのせる意味あるのかと思いますが、
医師の多くはそれだけどうでもいい治療と思っているということです。
ここだけの話、形成外科では研修医が担当する手術の代表ですから。
もちろん研修医がやれば再発多いのはもちろんです。
私自身、逆さまつげの手術はかなりコンスタントにやっています。
デザイン、操作、手術中の評価、縫合方法すべてにこだわりがあり、
両側で1時間はかかりますが、やりがいのある治療です。
さて本日の逆さまつげ症例のご紹介です。
他医で2回手術を受けたが治らなかった逆さまつげ
逆さまつげ(睫毛内反:しょうもうないはん)に対して他医で切開法を2回受けたお子さんです。
逆さまつげが再発してしまい、まつげが眼球にあたっている状態でした。
術前。(今回はお子さんなので写真の角度がそろっていないことがありますがご了承ください)
逆さまつげがばっちり再発しています。
2回手術してもこのくらい戻るんで恐ろしい病気です。
手術直前とデザイン。
かなりしっかりした逆さまつげです。
美容外科の手術ではまつげぎりぎりのところを切りますが、
逆さまつげの手術では少しだけ離すのがポイントです。
そして皮膚切除を少しだけします。
前回のキズアト付近がしわしわしているのは組織を切除している影響です。
組織が少ないと最終的なきずの凹みが目立ちます。
まぶたの一番内側は睫毛乱生(しょうもうらんせい)も混じっています。
手術直後。
直後はまつげがこのくらい下向きになっていて、
痛々しいくらいが理想です。
手術後1週間。抜糸した日です。
よいです。
手術後1か月。
きずが赤い時期ですが、まつげの向きは良好です。
これからだんだんとキズが馴染んでいきます。
そしてまつげが少し後戻りしていくのです。
術後6か月。
まつげの向きはきれいな外向きです。
半年再発がなければ一安心。
きずの赤みがひきました。
完成の術後1年。
とても綺麗です。
まつげが目に刺さることもなくなりました。
キズの線はわずかに残っていますが、
以前の手術で眼輪筋という組織を多く切除している影響が大きいです。
でもキズは時間が経つにつれもう少し馴染んできます。
術前術後の比較です。
他医術後というよくない条件のなかでよく治りました。
写真使用のご快諾ありがとうございました。
この手術に大切なのはセンスではなく、
経験 と ねちっこさ です。
私は1年後の時点で、線状のキズが全く残らないような手術方法を日々研究しています。
線状のキズが残ることで後戻りを防げているという考えもあるのですが、
きずもなく、後戻りもない治療が理想だからです。
いつかはっきりとした答えを発表できるように研究を続けます。
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手術内容:逆さまつげ手術(中縫い法)
早期のリスク:腫れ、痛み、内出血、感染、稀に結膜浮腫、結膜下出血
見た目のリスク:きずのくいこみ、キズアト、眼瞼外反、涙袋の形態の変化など
機能面でのリスク:睫毛内反の再発、睫毛乱生、霰粒腫など
料金:自費治療で40万円(税別)(中縫い法)