王子のまぶたブログ 眼瞼下垂と二重と逆さまつげと

形成外科専門医の王子富登のブログです。二重まぶたと眼瞼下垂と逆さまつげなどの治療について紹介していきます。

二重幅広めの眼瞼下垂手術 ダウンタイムが長いです 30代女性

形成外科の王子です。

 

他院で手術をして二重が広くなってしまって、

修正にこられるかたはかなり多いです。

そのうちの多くのかたは

 

「できる限り広めでお願いしました。」

「埋没と同じ幅でお願いしました。」

 

とオーダーしたという話がよくでてきます。

 

これが危険なんです。

できるかぎり広めでといったら、多くの美容外科では本当に広くしてくれます。

ハムをつくって、そのうえに皮膚がのっかることで超幅広にしてくれるのです。

(逆にいうと、ハムがないと超幅広は不可能に近いです。

ハムのおかげで幅広にできているのです。)

また、幅広の埋没は12-13mmくらいあったりしますが、

埋没の独特の緩みがあるおかげで不思議とおさまっているだけ。

同じラインで切開をしたら、眠たそうなガチャピン幅広二重になることがほとんどです。

 

若気の至りとはよくいったもので、

広め広めにオーダーするのはあとあと後悔することも多いです。

修正も結構大変ですよ。

慎重に考えましょう。

 

 

今回紹介するのは二重幅広めの眼瞼下垂手術です。

 

過去に埋没法をしたことがあり、ハードコンタクトレンズの使用歴もあるかたです。

まぶたが重く、肩こりが強いとのことでした。

そんなときは眼瞼下垂手術ですね。

 

術前の写真です。

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「ぎりぎり平行になるくらい、二重幅は2ミリくらい見えてほしい。」

というオーダーでした。

 

デザインはこちら。

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実をいうと幅広の二重をつくるのは簡単ではありません。

だれかれかまわずに単にデザインを広くしただけだと、

睫毛の根元がぷっくりしてハム状態になったり、

二重の上にかぶる皮膚が分厚くモッタリしたり。

どこまでを許容できるかを話しあいながら、

なおかつまぶたのタイプや皮膚の厚さをみながらデザインを考えるんです。

 

そして眼瞼挙筋をしっかり前転してしまうと

目の開きがよくなりすぎ、眉毛がさがって二重幅が狭くなってしまいます。

だから幅を広く保ちたければ、目が開きすぎないように眉毛がさがりすぎないように

やんわりと挙筋前転するくらいが望ましいのです。

でもそのあんばいが難しい。

 

そんなこんなで今回は9.5ミリのデザインで皮膚切除は4.5ミリとしました。


手術直後です。腫れてます。

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幅広めだと腫れが目立ちますね。

 

抜糸時の写真です。

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内出血が少し残りますね。もう1週間たてばほぼ消えます。

仕事に出られるのはこのくらいの時期か、人によっては術後2週間くらいからでしょうか。

 

術後1か月です。

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なんだか開きは悪めだし、二重も広めですが、

腱膜固定をやんわりとしていること、

広めのデザインで腫れが長引いていること

が原因ですね。

だから焦らないでください。

 

術後3か月です。

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だんだん目の開きがよくなってきました。

二重幅は2.5mmくらいです。まだ腫れがありますから、もう少しだけ狭くなります。

 

こちらは思いっきり目をあけたところです。

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眼瞼下垂手術の効果がでてますね。

 

 

術後6か月です。これでやっとひと段落。

幅広めは腫れがひくのに6か月はかかります。
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ご要望の多いふし目の写真です。

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ふしめでもすごくきれいです。

最大開瞼はこちら。

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写真使用のご快諾ありがとうございました。

カラコン外してもらうの忘れてました。)

 

そんなに幅広くないじゃんと言われればそれまでなのですが、

これ以上幅を広くすると、

二重の線にかぶさる皮膚がものすごくボッテリするのでおすすめしません。

 

ボッテリした皮膚を切除するには、、、

眉下切開ですね。

このかたは眉と目の距離がまだ結構ありますし、

分厚い皮膚が多いタイプのまぶたなので、

眉下切開のよい適応でもあります。

 

術前術後の写真を並べてみます。

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とても魅力的なまぶたになりました。

わりとオーダー通りにいったのでは?

同じ縮尺で並べてみると、眉毛のさがり具合がわかりやすいですね。

軽めの腱膜固定でもこのくらい眉毛がさがってくるので、

二重幅が予想よりも狭くなってくるのです。

 

もし強めに挙筋前転を行うと、

強く挙筋前転する。眉毛がさがって、目も開きすぎる。

瞳の中央の二重幅は狭いのに、内側と外側の二重幅は見えているという奇妙な状態。

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こんな感じになりたくないですよね?

 

 

 

今回のまとめ

・幅広め(9−12mm)はダウンタイム長い。6か月はかかる。

・挙筋前転しすぎると二重幅が狭くなる。

美容外科で二重幅広めとオーダーすると本当に二重が広くなる。

・ハムなしでは超幅広の二重は不可能に近い。

 

 

 

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手術内容:挙筋前転術

早期のリスク:腫れ、痛み、内出血、感染、稀に結膜浮腫

見た目のリスク:まぶたの開きの左右差、二重の左右差、まぶたのアーチの不整、

予定外重瞼(三重)、二重のくいこみ、キズアト(場合により2本)、

二重の消失、二重が浅くなる、眉毛がさがる、うわまぶたが厚ぼったく見える、など

機能面でのリスク:兎眼、ツッパリ感、視力の変化、眼瞼痙攣、ドライアイ、角膜炎、霰粒腫など

料金:保険適応で約45000円(3割負担)

自費治療で60万円(税別)