形成外科専門医の王子です。
コロナ騒動でなかなか外出しにくいですね。
マスクもティッシュも売ってないのでうちの備蓄も底をつきそうで困ってます。
はやく入荷されないかな。
買い占めはなんともいえない集団心理ですね。
さて本日はハードコンタクトレンズによる眼瞼下垂治療です。
実は難しいハードコンタクトレンズの眼瞼下垂治療。
40代女性。30年間のハードコンタクト歴。
視野がせまいほか、肩こりも強かったそうです。
術前の状態。
だれがどうみてもつらそうです。
保険治療で手術を行いました。
もちろん挙筋前転法です。
ハードコンタクトレンズの眼瞼下垂の治療が難しい理由は大きく二つ。
ひとつは挙筋腱膜の前転具合が非常に難しいこと。
経験に伴うコツがあります。
ふたつめはデザイン。
ハードコンタクトレンズの長期装用のかたはだいたい三重まぶたになっています。
たくさんしわがあるなかで、どの部分を切るか。これがなかなか奥が深い。
あとは三重を予防するためにどうするか。
センスももちろんですが、いろいろと引き出しをもつことが大事です。
今回のデザインはこちら。
7mmの切開線です。
たるみはとらないんですか?
という疑問をもつかたもいると思います。
今回のかたはまぶたの厚みがしっかりあるので、
たるみを安易に切除すると腫れぼったいまぶたになります。
だからたるみはとりません。
たるみは眉下切開で分厚い皮膚をとるのがベストです。
この手術が成功したら眉下切開を。とお話しすることも大切ですね。
もちろんまぶたが薄めの方は、まぶたの部分でたるみをとっても差し支えありませんよ。
大切な大切な手術中の写真です。
今回はしっかり挙筋腱膜を三点固定しました。
手術直後。仰向けの写真ですみません。
腫れは少なめですね。
術者も患者さんも嬉しいです。
抜糸時(術後7日目)。
この時点で成功を確信し、あとは腫れがひくのを待つだけです。
と言いたいところですが、ハードコンタクトレンズの眼瞼下垂の場合、
術後1か月の時点で少しさがるかたがたまにいらっしゃいます。
これが読めないところ。
術後1か月。すこしむくみが残るころ。
むくみはありますが、まぶたのさがりはありませんね。
一安心。
こんどこそ、あとは腫れが引くのを待つだけです。
ほぼ完成の術後3か月。
術後1か月の時より明らかに開きやすくなってますね。
まぶたの軽やかな動きが写真からでも伝わってきます。
目をとじた状態だと二重の線が見えますが、
これはまぶたのたるみが二重の上にのっかって線にみえるだけで、
きずではありませんね。
きずのアップはこちら。軽くひっぱった状態です。
3か月でこのくらい綺麗であれば1年後はほぼわからないくらいになっていると思います。
術前後の比較です。
とてもよいです。若返りましたね。
肩こりもよくなったようで喜んでいただけました。
あとは眉下切開で仕上げましょう。
写真使用のご快諾ありがとうございました。
ハードコンタクトレンズの眼瞼下垂のかたはたくさんいらっしゃいます。
手術は怖いです。
でも勇気をだして踏み出せば、別世界が待ってるかもしれません。
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手術内容:眼瞼下垂症手術(挙筋前転術)
早期のリスク:腫れ、痛み、内出血、感染、稀に結膜浮腫
見た目のリスク:まぶたの開きの左右差、二重の左右差、まぶたのアーチの不整、
予定外重瞼(三重)、二重のくいこみ、キズアト(場合により2本)、低矯正、過矯正、
二重の消失、二重が浅くなる、内側と外側の二股、眉毛がさがる、うわまぶたが厚ぼったく見える、など
機能面でのリスク:兎眼、ツッパリ感、視力の変化、眼瞼痙攣、ドライアイ、角膜炎、霰粒腫など
料金:保険適応で約45000円(3割負担)
自費治療で約60万円(税別)