どうも形成外科専門医の王子富登です。
本日は城本クリニック立川院で勤務です。
最近ブログを見た患者さんがいらしてくれるようになってきました。
二重や眼瞼下垂の相談だけでも結構ですので、ぜひいらしてください。
月曜木曜は東邦大学医療センター佐倉病院で、
金曜土曜は城本クリニック立川院で外来を行なっております。
前回の続きです。
皮膚を切り取る量をどのように決めるか。
前回も軽く触れましたが、これは非常に難しい問題です。
率直にいいます。
経験と勘です。
経験が9割だと思いますが、勘というかセンスも大切なのです。
まぶたの皮膚がどの程度あまっているかをよく見て判断することに加えて、
そのかたのまぶたのタイプや眼球の出具合、
利き目や目の開きグセ、
術前の眉毛のあがりかた、
手術のあとにどのように眉毛がさがるか、
手術後の腫脹によりどの程度皮膚が伸ばされるか、
などなど、いろいろと考えることがあります。
これらをすべてふまえて正確にシミュレーションするのは不可能です。
よって勘(センス)が必要になってきます。
そして結果がすべてです。
より良い結果をだすために研究を続けてあきらめないことが肝心と考えています。
術前の写真を再掲します。
もともと一重まぶたのかたで、
全体的にごわついた質感のまぶたです。
軽度の眼瞼下垂症と
ある程度の皮膚のたるみを認めますので、
挙筋腱膜の固定に加えて、たるみとりと二重形成が必要と判断しました。
このかたのご希望は
1mm以上は二重がみえてほしい。
とのことでしたので、たるみ取りの量を考えて、入念にデザインしました。
デザインの写真です。
二重は7.5mm(軽度伸ばして)、
皮膚切除は左が5mm、右7mm(軽度伸ばして)としました。
皮膚のたるみに左右差がありますので差をつけました。
細いペンでデザインすることは必須です。
術直後です。(あおむけの状態での写真で申し訳ありません。)
腫れとしては平均的です。
兎眼(目を閉じきれないこと)がみられますが、
これは眼輪筋(まぶたを閉じる筋)への麻酔の影響と、
挙筋腱膜の前転によるまぶたの開く力の強化によるものです。
今回は挙筋腱膜の前転量は必要最低限としましたので、
心配ありません。
術後1か月です。
腫れもかなりひき、よい状態です。
まぶたのアーチもきれいです。
術前と術後の比較です。
「楽にまぶたをあけられるようになり、肩こりも軽くなりました。
ずっと一重だったので、きれいな二重になれてよかったです。」
と喜んでいただきました。
写真使用のご快諾ありがとうございます。
挙筋前転術後に眉毛がさがる可能性について
眼瞼下垂症に対する挙筋腱膜前転術後に眉毛がさがることがあります。
この治療が普及した当初は、
眉毛がさがることはいいこと
と考えられていました。
しかし、程度の問題があります。
もともと眉毛が高いかたで、眉毛がすこし下がるぶんには、
- おでこのしわが浅くなる
- 眉毛があがっていることによる間延びした感じがなくなる
- 頭痛が軽くなる
などよい効果となります。
一方、もともと眉毛の高さが普通もしくは低めのかたは、
眉毛が下がると、
- 二重の幅がかなりせまくなる
- 分厚い皮膚がまぶたのほうにかぶさり重たいまぶたになる
- 眉間のよこじわが強くなる
など、整容面(見た目)ではよくないことが起こり得ます。
なのでそのかたの眉毛の位置やまぶたのひらきをよく観察し、
挙筋腱膜をもともとあった位置に修復固定することを基本とし、
眉毛のさがりかたを考えつつ、
挙筋腱膜の前転量を調整することが大切だと考えています。
今回のかたの術前術後の写真をみて、
むむ、そんなに目が大きくなっていないのでは?
と思うかたもいらっしゃると思います。
その通りです。
実際はもっとまぶたの開きをよくすることができますが、
今回はさきほど述べた理由で、眉毛のさがりをおさえる程度のまぶたのひらきとしたのです。
それをふまえて術後の写真をみてください。
眉毛のさがりはごくわずかです。
慣れていない術者が
なにも考えずに、とにかく挙筋腱膜を前転しました
という手術をすると、
目がカッとひらいて、眉毛がさがった怖い顔つき
になる可能性が高いといえるでしょう。
長くなりました。
次回は皮膚をどのくらい切除するべきか
について述べたいと思います。
まぶた治療に関しては症例が多い病院での手術をおすすめします。