形成外科専門医の王子です。
こないだふと思ったのですが、
世の中には眼瞼下垂科なるものがある病院だったり、
眼瞼下垂治療センターと称するクリニックがあったりするみたいです。
そこには有名な先生がいるからってことで治療を受けにいくかたが多いみたいですが、
そもそもそういうところって症例写真だしてます?
たまたまうまくいった昔の写真がいくつかでてるだけじゃないですか?
ただただホームページに乗っている年間手術件数だけ見てませんか?
そういうところで手術を受けたかたで修正を希望されるかたをよくお見かけします。
個人的な意見としては、手術件数はある一定数を超えていれば、
それ以上手術をやっても成績は変わりないと思います。
なんとか専門とか、経歴とか、手術件数よりも重要視するべきものがあるのでは?
さて、本日は男性の眼瞼下垂の症例です。
キリッとしすぎず、やわらかい印象の若返りを。
60代男性です。
まぶたの重たさを主訴に私のところにいらっしゃいました。
術前の状態です。
まぶたの下垂とまぶたの外側の皮膚のかぶさりが混在しています。
外側の皮膚のかぶさりは眉下切開で治療することも多いですが、
この程度の外側の皮膚のかぶさりであれば二重の線での切開で十分治療可能です。
まぶたの中身を治しつつ、外側の皮膚のかぶさりも治してしまいましょう。
そしてこのかたはもともと二重であり、目鼻立ちがキリッとしているお顔だちです。
挙筋前転をやりすぎて目がしっかりと開きすぎると、
眉毛がしっかりさがって、とてつもなくキリッとしすぎて、
怖い印象になりがちなタイプなので注意が必要です。
デザインはこちら。
二重は7mm、皮膚切除は5mmです。
目尻側のデザインの高さにこだわりがあります。
これで仕上がりが変わってきます。
お決まりの術中所見。
糸で挙筋腱膜を固定します。
このかたはもともと左より右目が下がっているので、
右目の腱膜固定を少しだけ強くしています。
手術直後。
開きも左右対象でいい感じです。
手術翌日の腫れはこのくらいです。
三重まぶたもなく、いい具合ですね。
術後7日目、抜糸時です。
左右差もほぼなく、順調な経過です。
この時点で明らかな左右差や三重があればサクッと治します。
術後1か月です。まだ少し腫れが残る時期です。
この時点でまぶたがかなり軽くなったそうです。
術後3か月。多くの場合、3か月で腫れはほぼひきます。
目がひらきすぎず、眉毛もさがりすぎず、腫れぼったさも最小限。
キリッとしすぎない柔らかい仕上がり。
でも明らかに若返っている。
狙い通りです。
最大開瞼でこのくらい黒目がでていれば十分な治療効果でしょう。
ご本人が感じてた症状もほぼなくなりました。
目尻側の二重のラインの高さも綺麗です。
経験が浅いとこの部分がわりと雑になりやすくて、
きずが目立ちやすかったり、きずではない線で折れたりするんですよね。
ちなみに、手術直後や抜糸時には左右対象の開きだったのに、
右目(向かってひだり)がわずかに低いのは手術前の左右差の傾向が残っているからですね。
この左右差はどうしても残ってしまうことがあります。
(個人的にはきき目の影響が一番強いと考えています。)
術前術後を比較してみます。
印象を変えすぎない。
いい感じです。
もともとハンサムなかたでしたが、より若々しくハンサムさに磨きがかかりました。
上方視と最大開瞼も比較してみましょう。治療効果がわかりやすいです。
綺麗な開きですね。
なお、もっと目をかっぴらきたいというご要望があれば、
(あまりいないと思いますが、)もちろん応じますよ。
この手技に精通しているので調整は得意です。
今回も写真使用のご快諾ありがとうございました。
男性の症例写真は多くないので、参考になったかたも多いのでは?
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手術内容:眼瞼下垂症手術(挙筋前転術)
早期のリスク:腫れ、痛み、内出血、感染、稀に結膜浮腫
見た目のリスク:まぶたの開きの左右差、二重の左右差、まぶたのアーチの不整、
予定外重瞼(三重)、二重のくいこみ、キズアト(場合により2本)、低矯正、過矯正、
二重の消失、二重が浅くなる、眉毛がさがる、うわまぶたが厚ぼったく見える、など
機能面でのリスク:兎眼、ツッパリ感、視力の変化、眼瞼痙攣、ドライアイ、角膜炎、霰粒腫など
料金:保険適応で約45000円(3割負担)
自費治療で約60万円(税別)