形成外科専門医の王子です。
ワールドカップも終盤ですね。
そして寝不足生活もそろそろ終わりです。
カタールW杯での試合の時間帯がいまから気になってそわそわしてます。
本日は専門医についてです。
巷にあふれる多数の「専門医」や「認定医」
どの専門医が信用できるのか?
いろんな美容外科のホームページをみていると、
「なんたらかんたら専門医」とか
「ほにゃらら認定医」とかいろいろ書いてありますね。
正直乱発されてます。
特に「ほにゃらら認定医」系は1日講習を受けるだけで取得できるものが多いようです。
一方、形成外科専門医は取得するのに少々時間がかかります。
その少々というのをざっくりいうと、
- 医師免許を取得してから6年以上経過している
- そのうち4年以上は学会の認定施設(大きめの病院)での勤務が必須
- 決められた症例経験レポートが必要(これがやや大変)
- 筆記テストと口頭試問
です。
症例経験レポートは手術前の写真や手術後6か月以上経過した写真が必要だったりと、
細かな条件が決められています。
まさに壮大なスタンプラリーなのです。
4年間以上形成外科で修行するのはやや大変かもしれませんが、
普通にしていれば間違いなく取得できます。
手術がうまいか下手かは関係ありません。
形成外科専門医は、
標準レベルの知識と技術を持ち、標準の医療を提供できる証明なんです。
もちろんそれは、きずを綺麗になおす、きずを綺麗に縫う技術を持っている証明でもあります。
しかし、ここで問題がひとつ。
専門医は国家資格ではありません。
医師免許は国家資格ですが、形成外科専門医は国家資格ではないのです。
国家資格ではなく、あくまで団体認定 (学会)のもの。
だから、マイナーな団体が発行した「なんちゃら専門医」と世間での扱いは同等なんですね。
ある日僕が、まぶたと二重学会を設立して、
まぶたと二重専門医を認定したら、
それも肩書きは専門医ですから。
それをプロフィールに掲載するのは自由でしょう。
細かいことをいえば、
厚生労働省が認可している、
医療広告可能な医学学会は約50個あり、
(医療に関する広告が可能となった医師等の専門性に関する資格名等について|厚生労働省)
日本形成外科学会はそのうちのひとつですから、
日本形成外科学会専門医は国家資格ではないにしろ、
限りなく公認に近い専門医といえます。
つまり僕が言いたいのは、病院選びや医師選びの際に、
「なんたらかんたら専門医」とか「ほにゃらら認定医」とかを鵜呑みにせず、
その学会や団体は一体なんなのか、まともな団体なのかを考えることが重要です。
実際、まともな学会は限られています。
ここでは言及しませんが。
専門医であれば手術がうまいのか?
その限りではありません。
経歴がすごくても、
センスがなかったり、技術がなかったり、思いやりがない医師もいますし、
逆に、専門医でなくともセンス抜群で器用な医師もいます。
ただ、お顔の繊細な手術をする上では、
顔面の解剖や手術手技だけでなく、万が一合併症が出た時の対応まで大切になってくるので、
形成外科専門医は必要最低限の資格なんじゃないかと思ってます。
みなさんもお顔の手術を受ける際には
医療機関をしっかり見極めて
被害者にならないように自己防衛してくださいね。
注)形成外科専門医でも失敗することもあります。所詮人間ですので。